重積分の計算では重要な手法が2つあります。それは
- 積分の変数変換
- 積分の順序交換
です。前回直交座標から極座標への変数変換は行いましたね。
あれ?積分の順序交換ってなんだ?
実は、重積分はまず \(x\) で積分して、その後 \(y\) で積分をするなど、2段構成になっている場合が多いのですね。
その際に、順序を交換したほうがうまくいく場合があるので、非常に重要な手法となっているのです。
今回はまず「累次積分」について詳しく解説したいと思います。
累次積分とは
累次積分とは、繰り返し積分を行うことです。別名 逐次積分 とも呼ばれます。
重積分では \(\iint f(x,y) dxdy\) という形を学習しましたね。
累次積分は
\(\int\){\(\int f(x,y) dx\) } \(dy\)
という形で表されるものです。まず \(x\) で積分して、その後 \(y\) で積分をするという2段構成になっているんです。
ちなみに、重積分において積分区間で連続な関数であれば、累次積分に変形することができます。
なるほど、2回にわけて積分を段階的にやる感じか・・・
それでは例を見てみましょう。
【このまま \(x\) から積分するパターン】
まずは \(\int_y^1 4xydx\) を積分する。
\(\int_y^1 4xydx = [2x^2 y]_y^1 = 2y-2y^3\)
よって、\(\int_0^1 (2y-2y^3)dy = [y^2 – \frac{1}{2} y^4 ]_0^1 =1-\frac{1}{2} = \frac{1}{2}\)
それでは、\(x\) からでも同じ結果が得られるのか検証してみましょう。
【順序交換して \(y\) から積分するパターン】
まずは順序を交換する。
\(\int_0^1(\int_y^1 4xy dx)dy = \int_0^1(\int_0^x 4xy dy)dx\)
まずは \(\int_0^x 4xydy\) を積分する。
\(\int_0^x 4xydy = [2xy^2]_0^x = 2x^3\)
よって、\(\int_0^1 2x^3 dx\) = \([\frac{1}{2} x^4 ]_0^1 = \frac{1}{2}\)
こっちのほうがコンパクトな計算だったな!
というように、今回は微力だったかもしれませんが、計算が楽になりそうだったら順序を交換してみるのも1つの手法ですよ。
累次積分では大切なことなので覚えておきましょう。
累次積分に関してはこの人!!図がわかりやすいです