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ε-δ論法(イプシロンデルタ論法)とは?日本一わかりやすい説明をしてみた!


ε-δ論法というと「大学の微積の講義で聞いたことはあるけど、あまりよくわかってない…」という方が多いのではないでしょうか。

名前も難しそうだし、教科書を読んでみても初めて見る文字ばかりで理解しにくく、挫折してしまいますよね。

でも実はこれ、そんなに難しい内容じゃないんです。

今回は、理系大学生なら絶対に分かっていないと恥ずかしい、この「ε-δ論法」について分かりやすく解説していきたいと思います!

極限について

ε-δ論法について解説を始める前に、まずは高校で習った関数の極限について思い出してみて下さい。

高校の教科書には次のように書いてあります。

ある関数 \(f(x)\) について、\(x\) を限りなく \(a\) に近づけたとき、\(f(x)\) の値がある値 \(b\) に限りなく近づくならば、$$\displaystyle \lim_{x\to a}f(x)=b$$と書き、\(f(x)\) が \(b\) に収束するという。

うーん…

限りなく近づく」という表現がなんともふんわりとしていて、感覚的には分かりやすいのですが、ちょっと数学的ではないですよね。

実は、これをより厳密な形で表現して定義したものがε-δ論法なんです!

つまり、ε-δ論法とは極限の定義を厳密に表現したものと言えます。

ε-δ論法とは?

それでは今回の本題に入っていきましょう!

まずは教科書的な定義です。

\(\displaystyle \lim_{x\to a}f(x)=b\) をε-δ論法で書くと、次のようになります。

$$\forall \varepsilon >0, \exists \delta >0 s.t. \forall x\in\mathbb{R}, 0<|x-a|<\delta \Rightarrow |f(x)-b|<\varepsilon$$

任意の正の実数 \(\varepsilon\) に対し、ある正の実数 \(\delta\) が存在して、任意の実数 \(x\) に対して \(0<|x-a|<\delta\) ならば \(|f(x)-b|<\varepsilon\) が成り立つ

とても分かりにくいですね…

「数直線上で \(x\) と \(a\) の距離が \(\delta\) 未満ならば \(f(x)\) と \(b\) の距離が \(\varepsilon\) 未満となるような \(\delta\) 」が任意の \(\varepsilon\) に対して存在するということなのですが、これは要するに \(f(x)\) をいくらでも \(b\) に近づけることができるということを主張しています。

これだけだとまだよくわからないと思うので、次で具体例を説明していきます。

ε-δ論法の具体例

具体的な例を考えてみましょう。

\(f(x)=2x+1\) について考えます。このとき、次の極限が成立することは自明にわかると思います。

\(\displaystyle \lim_{x\to 0}f(x)=1\)

これをε-δ論法を用いて表現するとこうなります(上に述べた定義で \(a=0\) 、\(b=1\) とすればよい)。

$$\forall \varepsilon >0, \exists \delta >0 s.t. \forall x\in\mathbb{R}, 0<|x|<\delta \Rightarrow |f(x)-1|<\varepsilon$$

これが正しいということを示してみましょう。

今回考えている関数は \(f(x)=2x+1\) ですから、\(f(x)-1=2x\) となります。

したがって、これはさらに次のように書き換えられます。

$$\forall \varepsilon >0, \exists \delta >0 s.t. \forall x\in\mathbb{R}, 0<|x|<\delta \Rightarrow |2x|<\varepsilon$$

\(\varepsilon=1\) のとき、適当な正の実数として \(\displaystyle \frac{1}{3}\) を \(\delta\) に採用してやれば、 \(0<|x|<\delta \Rightarrow |2x|<\varepsilon\) 、すなわち \(0<|x|<\displaystyle \frac{1}{3} \Rightarrow |2x|<1\) は成り立ちます( \(0<|x|<\displaystyle \frac{1}{3}\) ならば、当然 \(|x|<\displaystyle \frac{1}{2}\) は満たしていますよね)。

同様に、\(\varepsilon=0.2\) のとき、\(\delta=0.1\) としてやれば、 \(0<|x|<\delta \Rightarrow |2x|<\varepsilon\) は \(0<|x|<0.1 \Rightarrow |2x|<0.2\) となるので、これも自明に成り立ちます。

このように、どんな正の実数 \(\varepsilon\) を持ってきても、 \(\displaystyle \frac{\varepsilon}{2}\) 以下の適当な正の実数を \(\delta\) として採用してやれば、この関係は成り立ちます。

つまり、どれだけ小さな \(\varepsilon\) を持ってきても、\(|f(x)-b|<\varepsilon\) を満たすような \(x\) の定義域が(非常に狭くはなるものの)必ず存在するということになり、感覚的に理解していた極限が厳密に定義できています。

まとめ

このように、高校数学ではなんとなく感覚的に扱っていた極限をε-δ論法で厳密に定義することによって、より解析的に扱えるようになります。

微分の定義や極値問題など、この先さまざまな分野で必要となってくるため、しっかり理解して身につけておきたいですね。

ε-N論法(イプシロンエヌ論法)とは?日本一わかりやすい説明をしてみた!

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