フーリエ級数からフーリエ余弦係数とフーリエ正弦係数はすぐに求められるのですが、覚えていますか。偶関数と奇関数の性質を利用してフーリエ級数から求められるのでしたね。といっても、すっかりと忘れてしまった人もいると思いますので、ここではフーリエ余弦係数とフーリエ正弦係数の確認をしてみた、ということで、いま一度フーリエ係数について振り返ってみます。
すっかり忘れちゃったなあ
フーリエ級数がわかれば、フーリエ余弦係数とフーリエ正弦係数は本当にすぐに求められます。まず、偶関数と奇関数を振り返って、フーリエ級数からフーリエ余弦係数とフーリエ正弦係数を求めようと思います。
本当に?そんなに簡単だったかな
偶関数と奇関数
偶関数と奇関数を思い出しましょう。偶関数と奇関数は非常に簡単でしたね。
$$f(-x) = f(x)が偶関数 \\ f(-x) = -f(x)が奇関数でしたね。$$
そして、$$aを定数としてcos\,axは偶関数、sin\,axが奇関数でしたね。$$
そこで偶関数と奇関数の関係性がとても重要でした。それは次のような関係です。ここから重要な関係式が導き出されます。一般に$$g(x)を偶関数、h(x)を奇関数として、任意の区間[-M, M]での定積分では、$$
でしたね。それともう一つ重要な偶関数と奇関数の関係性があります。
これさえ押さえていれば、もうフーリエ余弦係数とフーリエ正弦係数へはひとっ飛びです。周期2Lとしたフーリエ級数は次のとおりでしたね。
ふむふむ、あっ、そうか!
もうわかったね。
フーリエ余弦係数
フーリエ級数で、$$f(x)$$が
偶関数または奇関数であるならば、フーリエ係数$$a_n,\,b_n$$はどちらか一方が0になります。
これがポイントだったね。
$$f(x)が偶関数ならばb_nの項はf(x)sin\left(\frac{n\pi x}{L}\right)が奇関数ですので、$$
このことから周期2Lの偶関数f(x)のフーリエ級数は、cosの項のみ残り、
これがフーリエ余弦係数です。もうここまでくれば、フーリエ正弦係数はわかるね。
フーリエ正弦係数
$$f(x)が奇関数ならば、a_nの項のf(x)cos\left(\frac{n\pi x}{L}\right)は奇関数ですので、$$
このことより周期2Lの奇関数f(x)のフーリエ級数はsinの項のみ残り、
これがフーリエ正弦係数だよね。
そのとおり!
まとめ
フーリエ余弦係数とフーリエ正弦係数は、まず、フーリエ級数から導き出されるのですが、そのときに偶関数と奇関数の性質が大変重要なのです。奇関数のある区間の積分は0になり、消えてしまうのです。そして、この性質を利用してフーリエ余弦係数とフーリエ正弦係数が導き出されます。
今回は復習もかねてのフーリエ余弦係数とフーリエ正弦係数についての説明でした。これで、だいぶ、フーリエ級数にこなれてきたと思いますが、どうでしょうか。今回のことでフーリエ級数に関してかなり深く理解が進んだと思います。この調子でがんばりましょう。
数式中で使う字体について。
x や i など、変数名は「数式イタリック体」を使って書きますが、
sin や cos など、関数名は「数式ローマン体」を使って書くのが一般的です。
TeX で書くのなら、数式中でそのまま $ x , i $ などと書けば「数式イタリック体」になり、
$ \sin x $ のように「\」をつけたマクロの名前にすれば \sin というマクロが実行されて「数式ローマン体」になると思います。
「\」をつけずに $ sin x $ としてしまうと、すべて「数式イタリック体」になってしまい、4つの変数 s, i, n, x が掛け合わされた項のようになってしまいます。それで4つの文字が sinx のように続いてしまって困るので $sin\ x$のように空白命令「\ 」などを入れているのだと思いますが、正しく $ \sin x $ のようにすれば字体が正しくなるだけなく、sin と x の間に適切な空白も自動で入るようになります。