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正規直交系のフーリエ級数を徹底的に解説してみた

$$\newcommand {\diff}{\mathrm{d}}$$

直交関数系を覚えているでしょうか。直交関数系を覚えていれば正規直交系のフーリエ級数はそれ程難しくありません。

直交関数系とは何か知りたければこれを見ろ!

ただただノルムの定義が加わったものを正規直交系と呼ぶのです。それでは正規直交系のフーリエ級数を説明してゆきます。

直交関数系とは?

関数が直交するとはベクトルの直交を拡張して定義しました。ベクトルが直交するとはその内積が0と言うことでしたよね。つまり、あるベクトル、$$\overrightarrow{a}, \overrightarrow{b}$$の内積は、$$|\overrightarrow{a}|・|\overrightarrow{b}|\cos\theta$$で、これが0になれば、ベクトル$$\overrightarrow{a}$$と$$\overrightarrow{b}$$は直交しています。これを関数に拡張したものが直交関数系と呼ばれるものです。それは、次のように定義されていました。

区間$$[a, b]$$で定義される積分可能な二つの関数f(x), g(x)に対して、内積は、$$(f(x),g(x)) = \int_{a}^{b}f(x)g(x)\diff x$$で定義されましたね。つまり、直交関数系とは、$$(f(x), g(x)) = \int_{a}^{b}f(x)g(x)\diff x = 0$$のことなのです。これは既出のことなので何の問題もないと思いますが、もし忘れているという人はしっかりと頭に入れてください。

さらに論を推し進めると、内積$$(\overrightarrow{a}, \overrightarrow{b}) = 0$$を満たすベクトル$$\overrightarrow{a}$$と$$\overrightarrow{b}$$は直交基底と呼ばれ、ノルムが$$\|\overrightarrow{a}\| = \|\overrightarrow{b}\| = 1$$のとき、正規直交基底といいます。

正規直交系とは

ベクトルの正規直交基底を関数に応用しましょう。ある区間$$[a, b]$$で連続で積分可能な関数$$\psi_{n}(x)$$からなる関数列$$\psi_{0}(x),\psi_{1}(x),\cdots,\psi_{n}(x),\cdots$$対して異なる関数$$\psi_{m}(x),\psi_{n}(m \neq n)$$が直交するとき、$$(\psi_{m}(x), \psi_{n}(x)) = \int_{a}^{b}\psi_{m}\psi_{n}\diff x = 0  (m,n = 0,1,2,3,\cdots,; m \neq n)$$が成り立ちます。そして$$(\psi_{n}(x), \psi_{n}(x)) = \int_{a}^{b}\psi_{n}(x)\psi_{n}(x)\diff x \neq 0  (n = 1,2,3,\cdots)$$を満たすとき、関数列$$\psi_{0},\psi_{1},\cdots,\psi_{n},\cdots$$を区間$$[a, b]$$上の直交関数系といい、さらにこの直交関数系が$$(\psi_{n}(x),\psi_{n}(x)) = \int_{a}^{b}\psi_{n}(x)\psi_{n}(x)\diff x = 1  (n = 1,2,3,\cdots)$$のとき$$\psi_{0}(x),\psi_{1}(x),\psi_{2}(x),\cdots,\psi_{n}(x),\cdot$$を区間$$[a, b]$$上の正規直交関数系といいます。

ただし、関数$$\psi_{n}(x)$$のノルム$$\|\psi_{n}(x)\|$$は、

$$\|\psi_{n}(x)\| = (\psi_{n}(x),\psi_{n}(x))^{\frac{1}{2}} = \left(\int_{a}^{b}\psi_{n}(x)\psi_{n}(x) \diff x\right)^{\frac{1}{2}}$$

正規直交系のフーリエ級数

区間$$[a, b]$$で定義された正規直交関数系$$\{\phi_0,\phi_1, \phi_2, \cdots,\phi_n, \cdots\}$$があります。つまり、この関数列は互いの内積に関して$$(\phi_m(x),\phi_n(x)) = \int_{a}^{b}\phi_m(x)\phi_n(x) \diff x = \delta_{mn}$$が成り立ちます。ここで、$$\delta_{mn}$$はクロネッカーのデルタと呼ばれるもので、$$m \neq n$$のとき$$\delta_{mn} =0$$となり、$$m = n$$のとき$$\delta_{mn} =1$$となります。

さて、フーリエ級数は$$f(x)  = \frac{a_0}{2}+ \sum_{n=1}^{\infty}\left(a_n\cos nx + b_n\sin nx \right)$$でした。これを構成する直交関数系は$$\{1, \cos x, \sin x, \cos 2x, \sin 2x, \cdots, \cos nx, \sin nx,\cdots\}$$です。フーリエ級数$$f(x)$$は区間$$[-\pi, \pi]$$で収束し、項別積分可能とします。それは、$$ \frac{a_0}{2}+ \sum_{n=1}^{\infty}\left(a_n\cos nx + b_n\sin nx \right) = 0$$と仮定し、フーリエ級数$$f(x)  = \frac{a_0}{2}+ \sum_{n=1}^{\infty}\left(a_n\cos nx + b_n\sin nx \right)$$と直交関数系$$\{1, \cos x, \sin x, \cos 2x, \sin 2x, \cdots, \cos nx, \sin nx,\cdots\}$$の内積をとると、

$$\begin{align*}\int_{-\pi}^{\pi}\left\{ \frac{a_0}{2}+ \sum_{n=1}^{\infty}\left(a_n\cos nx + b_n\sin nx \right)\right\}・1 \diff x = 0 \Rightarrow a_0 =0 \\ \int_{-\pi}^{\pi}\left\{ \frac{a_0}{2}+ \sum_{n=1}^{\infty}\left(a_n\cos nx + b_n\sin nx \right)\right\}・\cos nx \diff x= 0 \Rightarrow a_k =0  && (k = 1, 2, 3, \cdots) \\ \int_{-\pi}^{\pi}\left\{ \frac{a_0}{2}+ \sum_{n=1}^{\infty}\left(a_n\cos nx + b_n\sin nx \right)\right\}・\sin nx\diff x = 0 \Rightarrow b_k = 0 && (k = 1, 2,3, \cdots)\end{align*}$$となるのです。つまり、$$ \frac{a_0}{2}+ \sum_{n=1}^{\infty}\left(a_n\cos nx + b_n\sin nx \right) = 0$$ならば、$$a_0 = a_1 =b_1= \cdots = a_n = b_n = \cdots =0$$が成り立ちます。これは直行関数系が一次独立を定義していて、フーリエ級数が一意性であることを意味しています。

正規直交関数系のフーリエ級数展開の例として区間$$[-\pi, \pi]$$で、次のような関数列が知られています。

$$\begin{align*}\{1, \sqrt{2}\cos x, \sqrt{2}\cos 2x,\cdots,\sqrt{2}\sin x, \sqrt{2}\sin 2x,\cdots\} && (1) \end{align*}$$

(1)がフーリエ級数展開を満たすということは分かりますね。

まとめ

今回は正規直交関数系のフーリエ級数を説明してきました。

ベクトルの直交と内積をしっかりと理解していれば、それほど難しいことはいっていません。ベクトルの内積と直交というものを関数列に拡張したのが、関数の内積であり、直交関数系です。

そして、ベクトルの場合、ノルムが1の場合、正規直交基底といい、これを関数列に拡張してノルムが内積の$$\frac{1}{2}$$乗となる場合、正規直交関数系でした。ここではそれほど難しいことは全くありませんので、しっかりと理解してください。

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