$$\newcommand{\diff}{\mathrm{d}}$$
畳み込み積分(合成積)に関して、その意味を問われるとなんとも微妙な答えが返ってくるのが普通だと思います。
それほどに畳み込み積分(合成積)は、何のためにあるのか意味するところがとても分かりにくいのです。
しかし、畳み込み積分(合成積)そのものはとても簡単なものなのです。
畳み込み積分(合成積)は制御工学の学習する際によく目にするものですので、畳み込み積分(合成積)の正確な意味は制御工学の授業に譲り、ここでは畳み込み積分(合成積)を淡々と説明してゆきます。
そして、畳み込み積分(合成積)とフーリエ変換の関係を見てゆきます。
畳み込み積分(合成積)とは?
畳み込み積分(合成積)は以下のとおりです。
$$f*g(x) = \int_{-\infty}^{\infty}f(y)g(x – y)\diff y$$
左辺は$$y$$の積分なので最終的には$$x$$の関数です。これは二つの関数$$f(x)$$と$$g(x)$$を組み合わせることで新しい一つの関数を作ることをしています。
そのようにして組み合わされた関数を$$f*g$$と表しています。この$$f*g$$が畳み込み積分(合成積)と呼ばれるものなのです。
$$f*g$$は順序を入れ替えて$$g*f$$としても結果は同じです。
畳み込み積分(合成積)とフーリエ変換の深い関係
畳み込み積分(合成積)とフーリエ変換の関係は、次のような非常に明快な関係があります。それは次のとおりです。
$$\mathcal{F}[f*g] = \mathcal{F}[f]\mathcal{F}[g]$$
ここでフーリエ変換を次のように定義します。
$$\mathcal{F}(\omega) = \int_{-\infty}^{\infty}f(t)\mathrm{e}^{-i\omega x}\diff x$$
ここで先に書いた畳み込み積分(合成積)とフーリエ変換との関係を証明します。
$$\begin{align*}\mathcal{F}[f*g] \\ &=\ \int_{-\infty}^{\infty}\left(\int_{-\infty}^{\infty}f(y)g(x – y)\diff y\right)\mathrm{e}^{-i\omega x}\diff x \\ &=\ \int_{-\infty}^{\infty}f(y)\left(\int_{-\infty}^{\infty}g(x – y)\mathrm{e}^{-i\omega x}\diff x\right)\diff y \\ &=\ \int_{-\infty}^{\infty}f(y)\left(\int_{-\infty}^{\infty}g(t)\mathrm{e}^{-i\omega(t + y)}\diff t\right)\diff y \\ &=\ \int_{-\infty}^{\infty}\left(\int_{-\infty}^{\infty}g(t)\mathrm{e}^{-i\omega t}\diff t\right)\mathrm{e}^{-i\omega y}\diff y \\ &=\ \int_{-\infty}^{\infty}f(y)\mathcal{F}[g]\mathrm{e}^{-i\omega y}\diff y \\ &=\ \int_{-\infty}^{\infty}f(y)\mathrm{e}^{-i\omega y}\diff y\mathcal{F}[g] \\ &=\ \mathcal{F}[f]\mathcal{F}[g]\end{align*}$$
ここで、変数変換を行っていますので注意してください。
まとめ
畳み込み積分(合成積)は制御工学で必ず出でくる重要なものです。しかし、それは何を意味しているのかあやふやな人が多いのも事実です。
畳み込み積分(合成積)は、
例えば入力信号がある回路を経て出力されるときに、時刻が遅れて入力された信号も何らかの信号に変換されて出力されるときに時刻が遅れて入力された信号も含めて出力されるときにはすべて重ねあわされて出力される
ということを表しているのですが、分かりづらいですね。
しかし、
畳み込み積分(合成積)とフーリエ変換との関係はとても深い関係にあり、その関係は単純明快です。
畳み込み積分(合成積)の意味に関しては制御工学の授業に譲るとしても、畳み込み積分(合成積)とフーリエ変換との関係は覚えてください。