偶関数と奇関数を定積分するとどうなる?

高校数学で偶関数と奇関数というものはどんなものなのか簡単な例とともに習っていると思います。しかし、偶関数と奇関数を忘れてしまっているという人もいると思いますので、ここではもう一度偶関数と奇関数がどんな関数だったのか復習もかねて説明します。
また、偶関数と奇関数は大学の数学では多くの自然現象を数式で表すことを可能にしたフーリエ解析で重要な役割を果たしますので、それを踏まえてしっかりと学習してください。
偶関数と奇関数とは?
偶関数と奇関数とはどのような関数なのでしょうか。
$$f(-x) = f(x)ならばf(x)は偶関数$$
$$f(-x) = -f(x)ならばf(x)は奇関数$$
$$偶関数の見分け方ですが、偶数乗で成り立っている関数は偶関数、また、三角関数のcos xも偶関数です。$$
$$例として、f(x) = x^2,f(x) = x^4 + 2,f(x) = cos xなどです。$$
$$f(x) = x^4+ 2の2は偶数乗ではないと思うかもしれませんが、2は2\times x^0と書き換えられ、0は偶数ですね。$$
奇関数の見分け方ですが、偶関数の見分け方から予測できますね。
$$つまり、奇数乗で成り立っている関数は奇関数、また三角関数のsin xも奇関数です。$$
$$例として、f(x) = x,f(x) = x^3 + x, f(x) = sin xなどです。$$
偶関数と奇関数の定積分
$$f(x)が偶関数のとき、\int_{a}^{a} f(x) dx = 2\int_{0}^{a} f(x) dx$$
$$f(x)が奇関数のとき、\int_{-a}^{a} f(x) dx = 0$$
$$積分の区間を二つに分けます。$$
$$\int_{-a}^{a} f(x) dx = \int_{-a}^{0} f(x) dx + \int_{0}^{a} f(x) dx$$
$$ここで第一項を置換積分します。$$
$$y = -x と置換しますと、第一項は$$
$$\int_{-a}^{0} f(-y) (-1)dy = \int_{0}^{a} f(-y) dy$$
$$ここでf(x)が偶関数とすると、$$
$$f(-y) = f(y) となるので$$
$$\int_{-a}^{a} f(x) dx = 2\int_{0}^{a} f(x) dx$$
$$一方、f(x)が奇関数とすれば$$
$$\int_{-a}^{a} f(x) dx = 0$$
ここまではわかると思います。なにも難しいことはいっていません。この偶関数と奇関数が力を発揮するのが、三角関数です。さて、三角関数といえば、フーリエ解析ですね。
あらめてフーリエ級数展開をおさらい
$$f(x) = \frac{a_0}{2}+\sum_{n=1}^{∞}(a_n cos(nx) + b_n sin(nx))$$
フーリエ級数に三角関数が登場します。よって三角関数は偶関数と奇関数でしたので、フーリエ級数を実際の波形に適応するとき、この偶関数と奇関数の性質が大いに役立つのです。
まとめ
偶関数と奇関数の定義からそれらの定積分を見てきましたが、なぜ、高校での数学をここで復習したかというと、三角関数が偶関数と奇関数なのです。ということは、それは大学の数学の講義でつまずくところであるフーリエ解析に大いに関係してくるのです。
とにかく、偶関数と奇関数の定積分は大切ですのでしっかりと理解してください。